ある朝の出来事

早出の出勤が極まれにあるのですが、その時に話をする2人の年配の男性がいます。
数ヶ月前、その中の一人の方に相談を持ちかけられました。
「妻が不治の病気で、治療すら受けす家にいるんだ。あんたの所に相談に行きたいと
思ってはいるんだけど、なかなか行けなくて・・・。」
そう言ってその方はしばらくの間、泣きました。
家で泣く場所もないのでしょう。
私は「無理して来なくて大丈夫ですよ。気持ちが落ち着いたとき家族と来てください。
電話をして頂いても構いませんし・・・。」と言ってその方とお話しました。

そして、先週。またその方が話しかけて来られました。
「妻が入院したんだ。治療を受ける気になってくれて生きるための入院。」
私は思わず「よかったねぇ!!」。
すると、その方の顔がパァ~っと明るくなったのが分かりました。
きっと葬儀社に勤める私に何か言いにくかったのだろうと思いました。
「ご本人がやってみようと思う事が一番大事な薬ですよね!
大変な治療に向かう気持ちが前を向いてないと!良かったですねぇ!!」
「うん、うん。心配ばっかりかける妻だけど・・・。安心したんだよ。」
二人で笑っていると、もう一人の方も話に加わってきました。
「俺にも名刺をくれるかな?俺は自分の為に見学に行くよ。
俺だっていつ死ぬか分からんし。(笑)」
「どうぞ、どうぞ!
それに、人間は100%死にますからね。私も死ぬし。(笑)」
なんだか、変な感じではありましたが早朝から三人で笑い合いました。
悩んで苦しんで詰まっていた思いが解放されたような感じでした。